自己破産
自己破産とは
- 自己破産とは、現在の借金をゼロに出来る最も強力な借金整理方法です。
- 高齢者世代の方を中心として、破産に対するイメージは良くないのですが、誤った認識も多いです。
- 破産に適合するかどうか、専門家に相談することが必要です。
近時の借金は、任意整理して借金が減額したり、過払い金が発生するようなことはほとんどありません。
テレビ等ではいまだに過払い金の宣伝をしている所もありますが、実際に裁判所に行ってみると過払い事件の件数が極端に減っていることからも明らかです。
即ち、借り入れ開始時期が、平成18年以降の場合には、借金が減額したり、過払い金が発生したりすることはまずありません。この時期以降、大手消費者金融会社は、利息制限法の法定利率で貸し出しをしていますので、利息制限法で引き直すという手法が通用しなくなったからです。
そこで、改めて注目されるのが、借金をゼロにすることができる自己破産です。
自己破産を考える上では、いくつかの障害を乗り越えないといけないこともあります。
では、どのような障害があるのでしょうか?
①自宅不動産を所有しており、容易に手放すことができない場合
自己破産となれば、自宅は処分しなければなりません。住宅ローンを支払っていける場合には、当面は自己破産しなくてもいいかもしれません。住宅ローンの支払いは出来るが、それ以外の借金の支払いは苦しいといった事情があるようなケースでは、住宅ローン特約付きの個人再生を検討してみて下さい。それ以外の借金の額を原則5分の1に圧縮することがてきます。
先ほど、当面は自己破産しなくてもいいと申し上げました。
将来的に自己破産が現実味を帯びるケースにはどういった場合があるのでしょうか?
そのひとつは、長期の住宅ローンを組んでいるような場合がそうです。退職して以降も住宅ローンが残るようなケースでは、実際に住宅ローンを支払い続けることは難しくなってきます。退職金で完済出来れば問題ありませんが、そうでなければ、※任意売却して自宅を手放してもなお借金が残ることになり、破産せざるを得なくなってきます。
その他にも、収入の増減、リーマンショックで一時期猶予のあった住宅ローンが以前にも増してきつい支払いになったことにより、または、転居等で住宅ローンを支払うことの意味付けがなくなったりした場合にも破産の現実味が生じてきます。
※抵当不動産の売却は、抵当権を持っている債権者の同意が必要です。同意が得られない場合には、売却も困難になります。また、売却したからといって、債権額が売却額より多い場合には、借金は残ります。
元の銀行から債権回収会社等に債権が移行するのが一般的です。
②特別の地位に就いている時には、破産者は欠格事由となるため、破産できない場合
会社で取締役の地位に就いている場合、破産すると、もはや取締役ではなくなります。取締役でなくても、法律で破産者を欠格にしている国家資格が多数存在してます。
③その他にも専門家の立場から見て、破産が適当とは言えない場合
自己破産は、任意整理や個人再生でも支払っていけないような家計の状況のときに適当と言えます。
任意整理<個人再生<個人破産の関係があるのです。
破産書類を作って裁判所に提出しても、任意整理で支払いが可能となるような場合には破産は認められません。
家計を見ていて、「これは破産案件だな。」っと感じるサインがあります。
それは、公租公課の滞納がある場合です。税金や保険料の滞納が常態化している場合には、破産の兆候があると言えるでしょう。
借金の額によるとも限りません。
借金の総額は100万円であっても、失業中で暫く仕事に就ける見込みがないような場合には、その借金を支払っていくことは困難ですから破産することが適当となるわけです。
借金の額と実際の収入を照らし合わせて、総合的に評価する必要があります。
その他にも、同時廃止による自己破産の場合には、細かい基準が用意されているため、それら基準をクリアする必要があります。クリアできない場合には、管財事件となり、破産費用は高いものになってしまいます。
このように我々専門家サイドの問題も乗り越える必要があることから、自己破産を検討されておられる方は相談しに来て下さい。
メリット・デメリット
- 今まで悩んでいた債務が無くなる。(但し、税金等は免責されません。)
- 認定司法書士に依頼することにより債権者からの取立てが止まる。
- 免責が確定すれば新しいスタートがきれます。
- 信用機関情報(ブラックリスト)に登録される。
- 裁判所からの出頭(審尋)に応じる必要がある。
- 官報に載る(闇金業者等からの勧誘がよく起こります。)
- 裁判所に申立をしてから免責決定に至るまでの約3ヶ月間は一定の職業に就くことが出来なくなります。(弁護士、司法書士、税理士、生命保険募集人、警備員など)
- 会社の取締役である場合には、破産により取締役でいられなくなります。 但し、破産者でも取締役に就任することは、可能となっております。
- 持ち家の場合、自宅を手放す必要がある。
自己破産の手続きと流れ(同時廃止事件)
- 事務所へ自己破産の相談に来所
- 自己破産の手続きを依頼(即日)
- 各債権者へ受任通知発送・取引履歴の開示請求(約1か月)
- 自己破産の必要書類を準備
- 司法書士が管轄の地方裁判所へ自己破産の申し立て
- 司法書士が各債権者に対して自己破産の申し立てを通知
- 破産手続きの開始決定(自己破産状態であることが認められる)
- 本人が地方裁判所で裁判官との面接(破産審尋)
- 免責決定(借金がゼロになる)・官報に掲載
自己破産に対する誤った情報や偏見
ブラックリストとは、銀行・信販会社・消費者金融会社がそれぞれ加入する個人信用情報機関に登録されている個人の経済的な情報のデータベースを指します。難しくてわかりづらいですね。簡単にいうと、「個人の今までどのような借金があってその借金がどうなっているかがわかる情報が載っているもの」です。何か黒いリストが存在する訳ではありません。例えば、A銀行から借金してしまいましたが破産してしまいました。そのような時、A銀行はそのデータベースに「この人は破産したのでお金を返してもらえませんでした」という情報を記載します。この情報を見た他の銀行は、「この人に貸すのは危ないな」と判断する訳です。この情報(事故情報と呼びます)は、通常5~7年で抹消されることになっています。また、信用情報は個人のプライバシーの問題があるので、銀行や信販会社、消費者金融会社以外は原則として見ることができません。
破産を検討するような場合、分割金の返済が滞っているケースがよくあり、この場合、延滞情報が事故情報として既に掲載されているのが通常です。破産するまでにブラックリスト入りしているのであれば、このブラックリストのことで新たに悩む必要はことさらないと考えます。
※自分の信用情報を知りたい場合
自己破産すると一定期間、他人の財産を扱うような特定の職業に就けなくなります。
逆にいうとこれらの職業以外は自己破産をしてもなんら影響はありませんので、会社をクビになったりということもありません。また、公務員も一部を除き影響はありません。
では、どのくらいの期間就けなくなるのでしょうか? また、どうすれば就けるようになるのでしょうか?
そもそも破産手続きは「破産手続」と「免責手続」の2つで成り立っています。
そして就けなくなる期間は破産手続が開始されてから免責手続完了までの間です。
よって下の自己破産の流れのとおり大体2~3ヶ月間の間は特定の職業に就けなくなることになります。
また、免責手続が終わればなんら手続きをとることなく自動的に職業制限はなくなります。
住民票や戸籍に載ってしまう!? | そのようなことはありません! 「破産者名簿」には載っていますが、これは第三者が見ることはできません。また、破産手続きが完了後直ちに抹消されます。 |
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選挙権がなくなってしまう!? | 選挙権はなくなりません! 選挙権は憲法で認められた重要な権利です。 |
会社や知り合いに 破産したことがバレてしまう!? |
普通は自分が言わない限り破産したことは周りにはバレません! 破産をすると「官報」という政府が発行している新聞に載ることになります。 みなさんは「官報」についてご存知ですか?普通は知らないですよね。ですので、見ている人はほとんどいません。また、破産をしても会社に通知が行くことはありません。 しかし、同居のご家族は生計をともにしている以上、ご家族の給与明細等、必要な書類が必要となりますので、同居のご家族に内緒で自己破産を進めるのは極めて難しいです。 |
自己破産をすることで一番心配なのは、子供の就職や結婚に影響が出たり、家族や親族に取立てが言ったりと、周囲の方への影響を一番心配されていると思います。自己破産に限ったことではありませんが、実際に借金をしている人以外には例え親であろうとも、子供であろうともまったく影響はありません。
唯一の例外として、親や子供が保証人になっている場合のみ影響があります。ですので、保証人になっていないのであれば心配はまったく無用であります。しかし、万が一保証人になっているようであれば、保証人の方も債務整理を考えなければなりません。